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のこぎりが楽器として使われるようになって200年ほど経ちますが、これといったマニュアルというものが現在まだ無いように思います。まあ、それ故皆さん各自工夫を凝らして楽しんでいるのも事実ですが。| 目次 |
| T:演奏前の準備 1.座ってみる 2.楽器を構える 3.左手をあてる 4.弓を持つ U:音を出してみよう 1.実際のポーズ 2.のこぎりの音階 |
| T:演奏前の準備 |
1.座ってみる![]() まず椅子に座るところから始めます。 実はこの「座る」というのがことのほか大事。 右図のユミちゃんが正しい姿勢です。 軸足は垂直に、そして膝は直角に曲げます。 要するに椅子の高さが重要になります。 自分にあっていない椅子だと、ヴィブラートやピッチコントロールが上手くできません。 更に、浅く(脚に体重を乗せて)座ったり、背もたれ(ある場合)にもたれたり、猫背になったりするのも好ましくありません。 下のヒロシくんは、悪い例です。 ![]() ちなみに私おぎ原(身長175センチ)はホームセンター等で売ってる丸座の折りたたみ椅子が丁度良い高さです(素足の場合で)。 ピアノ椅子のように高さが調整できればよいのですが、まずは自分にあう高さを試しながら探しましょう。 そしてこの段階で一度片方の脚を揺らしてみましょう。いわゆる貧乏揺すりです。 この動きがヴィブラートになります。多くの方が右足になると思います。私は逆ですが この揺する脚を親指分だけ引き寄せます。上のユミちゃんの姿勢の状態です。 これが座りの基本姿勢になります。 また、反対の脚は軸足となるのでしっかりと固定して動かさないようにしてください。 TOP 2.楽器を構える さあではのこぎりを構えてみましょう。 方法は、刃を自分の方に向けて、膝の上(太股寄り)で軽く挟みます。 手ぬぐいなどを敷いてあげると、滑り・落下防止になるし、その上衣服を傷めるのを防いでくれます。 ![]() 敷くものとして、タオル地などではかえって刃が引っかかってしまいます。 かといって手ぬぐいでは舞台にあがる際にどうかと・・・という場合があります。 おぎ原は大きめのバンダナを折って使っています。 そして、正面から見た場合、両手を放した状態で、のこぎりが45度くらいになってるのが良い状態です。(イラスト左) しかし、たいていの場合しっかり挟もうとするあまりのこぎりが垂直に近い形になってしまいます。(イラスト右)これは良くありません。 ![]() 良い状態で構えることが出来れば、挟んだ時ののこぎりの状態は上のイラストのようになるはずです。 TOP 3.左手をあてる 今度は先端に左手をあてます。 実はこれがうまくいかないと音が鳴りません。そして大変痛いので最初の挫折ポイントです。 頑張って乗り越えましょう。 まず左手をVの字に開きます。あまり開きすぎないように。 ![]() その手をそのまま下に向けます。 ![]() そしてその状態のまま、のこぎりの先端に添えます。 ![]() この時先端に当てるのは、人差し指・中指・薬指の第1間接です。(のこぎりの幅によって当たる指の数は変わりますが、第1間接と覚えておいて下さい) そしてこの時の親指との距離は5センチ位です。 この時、親指と人差し指・中指・薬指が相当痛くなると思います。 しかし、これを乗り越えないと「のこぎり」は演奏できません。(痛みを抑える器具や裏技もあるんですが。以下に紹介します) 特に痛みの所為なのか、第1間接ではなく第2間接や第3間接(指の根元)で押さえる人をよく見ますが、演奏技術を上げたいのでしたら、是非頑張って第1間接で押さえて下さい。 まずは、3本指のためのガード。 @まず一番メジャーな方法が、のこぎりの先端にカバーを付けること。ヤマハで購入すると、最初から付いてきます。 のこぎりを始めた頃、ファイルのクリップ(プラスチック製)を先端の幅に切ってかぶせたことがあるんですが、固い上に遊びが出来るので、音を変える度にカチカチとうるさい音をたてていました。 もし自作されるなら、ゴム製でなるべく先端だけを押さえるように作ってください。 A今度は私の考案した方法で、指の方に保護テープを巻きます。テープと書きましたが、実際はナイロンヒモ(カバンの持ち手などの)を使ってます。 この方法のメリットは、まずのこぎり自体には細工をしないでよいこと。(演奏以外のパフォーマンスにも気兼ねなく使えます・笑) それとのこぎりの盤面を一切遮らないので、最大限演奏幅を生かせることです。 デメリットは、演奏中の譜めくりとかがしにくいこと。。。 Bこれは全く外部的力を借りる方法で、先端にハンドルを取り付けます。てこの原理で曲げるので、力の弱い女性・子供・高齢者などには便利な道具で、わずかな力で簡単に出せます。 故に最初は力が入りすぎてしまうので、加減が必要。 その人その人で色々なデザインがあります。イラストのものは、私が作っているタイプの簡単画。(上のテープとともに「マイのこぎり」に紹介してます) また大きいサイズ用にグリップが自分の方に傾いているものもあります。(持っていないので実際の効果の程はわかりませんが、便利そうです) ただし、微妙な加減が出来ず演奏がどうしても大雑把になってしまいます。 今度は親指用のガードです。 Cこれもヤマハで購入するミュッセルに最初から付いているんですが、丁度親指を乗せるところに発泡樹脂のクッションが貼ってあります。おそらく、輸入管理をしている尾上氏考案の元、彼が付けているものと思います。 実は教室に参加してる生徒さんには外すよう指示しているんですが、どうしても痛い場合には有効な手段かと思います。 外す理由としては、やはり極力直接のこぎりにふれた状態で演奏して欲しいからです。 Dこれは親指にキャップをしてしまうという方法。生徒の中にも、手袋をして更に事務用の指サックをして、、、と努力してる人もいます。 また、某のこぎり奏者は「手品用の親指」(ハンカチとかを隠すアレです)をはめて演奏してました。(これは試したことあるんですが、確かに指先は痛くないのだけど、指サックが引っかかる間接の辺りが痛くてしょうがなかった) E最後に紹介しますのは、アメリカで老婦人から教わった方法。なんとテニスボールを握って、その状態で弾くというもの。 これだとテニスボールの接地面が親指の代わりを果たしてくれるので、痛くないどころか全く使わなくて良い。 帰国後早速試しましたが、正直なところ全然ダメでした。 実はぶっちゃけで書いてしまいますと、これと似た理屈で手のひらそのものをベタッと当てても音は鳴ります。 あまり使って欲しくはないですけどね・・・ グッと押すと親指の関節が反対に曲がる(反る)人もいますが、昔ビデオで見た黒人の奏者がそんな曲がり方をしてまして、親指の先だけ純白と言っていいほど真っ白になってました。 もうこれは宿命なのかもしれませんね。。。 TOP 4.弓を持つ さあ、ようやく弓を持ちます。 おぎ原のところでは、ヴァイオリンの弓を使用します。この弓を使用するのは、一番確実に入手できてその中で一番演奏表現が付けられるからです。 まずは簡単に説明。 ![]() だいたいこのようなパーツに分かれてます。別に名称を覚える必要はありません。 そして、演奏の際にはスクリューを回して弓を張ります。(右回し) 演奏が終わったら必ずゆるめてください。 それから、毛は指の腹等で触らないで下さい。油分や水分を付けないように。鳴りに影響します。 よくカンカンに張って棹を逆反りにまでしてる人がいますが、それは弓を傷めるだけですのでやめて下さい。 張り具合の目安は、毛箱から毛の1/3辺りを爪で軽く押してみて、毛が棹に当たらない程度。(逆反りにはならないはずです) それで弾いてみて、もしまだ張りがゆるいようでしたら、少しずつ様子を見ながら強く張っていってください。 そして、実際に鳴らす準備として、松ヤニを塗ります。 新品の弓には最初、しこたま塗ってあげます。ヤマハの付属で小さい松ヤニが付いてますが、これは硬めなので最初は乗りにくいかもしれません。(私は『Kaplan』の『DARK No.7』というのを使っています。なかなか良いです) それとついつい塗りすぎて、のこぎりの裏が粉で真っ白になってる様子をよく見ますが、そこまで塗りたくる必要はありません。 一度松ヤニが毛になじんでしまえば、毎度毎度塗らなくてもしっかり音は出ます。 私なんぞは、鳴らなくなってきたら塗る。という程度です。本番前はしっかり塗りますけどね。 前置きが長くなってしまいましたが、実際に弓を持ちましょう。 ![]() これは都家歌六師匠から教わった持ち方で、毛箱と棹を5本の指でしっかり掴みます。 最初に何も聴かずに弓を持つとほとんどの人が棹(毛箱より)のみを摘む感じで持つと思います。実際世界中で多くの人がこの持ち方だと思いますから、間違いではありません。 しかし、おぎ原のところでは、イラストのように教えています。それは何故?棹を摘む場合とのメリット・デメリットで説明致します。 まず摘む場合、弓の中程を持つのでバランスが良い。よって軽く持てます。 しかし棹の中程の毛との間に親指が入るので、そこから上が演奏に使えません。折角の弓が端から端まで使えないのです。 更には軽く持てるのでソフトなタッチは容易に出来ますが、反対に丸くて細い部分を摘んでる形なので、力ある演奏には不向きになります。 一方歌六式の毛箱を掴む場合は、全く逆になります。 弓の先端を持つので、バランス感は悪く重たく感じます。(慣れで克服できますが) その替わり、弓を端から端まで無駄なく使うことが出来、大きな音(フォルテ)にも対応できます。勿論ソフトに弾くことも出来ます。 つまり、音楽的に考えて毛箱を掴む方がすぐれていると思われるので、この持ち方を勧めています。 ちなみに、最近聞いた話ですが、私の尊敬します「小野顕氏」は「箸を持つ格好」で弓を持つそうです。しかし、今の私には既に持ちにくかったです・・・ それから、毛(馬の尻尾)は消耗品です。すり減ったら張り替えてください。5〜6千円です。 最後に、上でも書きましたが、演奏が終わったらゆるめるのを忘れないでくださいね。 TOP |
| U:音を出してみよう |
1.実際のポーズ![]() さあ、今までのことを頭に入れて、実際に構えてみましょう。 正しくできれば、左のヒロシくんのようになります。 ところが、面白いことにほとんどの人が、このユミちゃんのようになります。どこが悪いのか、一つずつ追ってみましょう。 まず、足が開きすぎてます。このような姿勢で演奏する人もいますので、間違いとは言えないんですが、ココでは最初の説明のように足を揃えて構えましょう。 そしてのこぎりも深く挟みすぎ。これだと低音が最後まで鳴らせません。 次に左手の3本指が(小さくて分かり難いですが)指の根元で支えてます。そして親指が開きすぎ。 更に、肩に力が入ってしまい、肩関節が内側に向かってます。これですとスムーズに曲げられないので、思うようにメロディが作れません。 肩は力を抜いて、肘は下を向くように。 そして弓の構え方。 上では説明してませんでしたが、弓の先端から打ち下ろす(ダウン奏法)ように当てても思うようにキレイに擦ることが出来ません。 まずは弓の根元(手に近い位置)から引き上げる(アップ奏法)弾き方から始めましょう。 ![]() TOP 2.のこぎりの音階 さて、ようやく音を出す段階になったわけですが、ここで再度確認です。 「のこぎり」といっても普段私たちが使っている両刃のものではありません。西洋等で使われている「片刃」で「先細り」している形の物を使います。 これには勿論ワケがあり、柄に近い太い部分が”低音”先端の細い方に行くに従って”高音”と音階が変化していきます。 更にこの間格は均等ではなくて、低音は広く、高音に行くほど狭くなります。 ![]() そしてこのポイントは、そのまま弓で弾く(擦る)場所となります。 低音を弾く時の構え ![]() 中音を弾く時の構え ![]() 高音を弾く時の構え ![]() ここで注意しなければいけないのが、弓はいつでものこぎりに対して直角に当てるということです。 TOP |